騙す騙される
こちらはお絵描きチャットでロイがハボを騙すというテーマで
描いた絵を見て元ネタにしております こちら(一部R-18)

 黒尽くめの衣装で過ごして三日、ようやく片がついたテロリストの
残党狩は、奴らの自爆という呆気なくも多大に迷惑な方法で始末が
ついた。

 ただでさえこの戦闘衣装は、俺の普段隠している粗暴さを誘うと
いうのに、ずっと閉じ篭って発散されることのなかった身の内焦がす
熱は、そのまま俺の中で行き場を求め猛り狂っていた。
そんな時に、間の悪い嘘をつくアンタが悪い。
暦を見ないで過ごした数日のせいで、今日が四月一日だと気付いた
のはアンタを壁際に追い詰めてからだった。

「ハ…あ、いや違う…えっと……」
咄嗟に俺の名前を呼ぼうとした大佐は、自分を記憶喪失だという設定
にしていたので俺の名前を口にする事ができず、語尾が小さくなる。
「…記憶、なくしたんスよね?」
わざと大佐の耳元近くで、低く囁いてやれば頬を染めた大佐は素直に
コクコクと頷く。
「俺の名前…ジャンっスよ いつもそう呼んでるでしょほら呼んで」
無言で口を何度か開閉させてる大佐はきっと『嘘だ 私はお前を
ハボックと呼んでいるではないか』と主張したいのに違いない
勿論、そんなそぶりには気付かぬフリで、もう一度ジャンと呼ぶよう
に促してみる。
今度は軟い耳朶を甘噛みし、舌で舐めるというオマケ付きだ。

「ひゃっ…こ、こらやめっ……」
「『ジャン やめて』…でしょ?」
「ふっふざけ……ひゃぅっ…ふっ…」
大佐の発言が、途中から甘い吐息混じりに変わったのは耳朶を弄んで
いた舌先が、首筋へと下っていったからだ。
「…へぇ?記憶なくしてもやっぱアンタの弱いところは変わんないん
スね こことか…ここ舐められたりしゃぶられると、アンタ泣き
ながら俺に『もっと』って可愛くおねだりしてくるんスよ」
壁際に追い詰められた大佐の腿の合間に、猛り始めた俺の昂ぶりを
押し付けるとその硬さに気付いた大佐は、頬を染めた。

「な…っおまっ…好き勝手な……」
「お前じゃなくてジャンですってば…言葉じゃ駄目みたいっスね思い
出せるようにアンタの躰の弱かったトコとか感じやすい所…じっくり
教えて上げます」
「あっ…やめっ…違うんだ…今日は……」

 エイプリルフールだなんて種明かしを、聞いてやるつもりはない。
大佐の唇をふさいで、舌を絡めて自力じゃ立てなくなるまで口腔内を
ねぶって、言葉が嬌声にかわるまで大佐の弱いところを責めたてる。
「んっ…んっ……ぁ…」
「そうそう いつもそうやって立てなくなると俺に縋ってくるんス」
「このっ…嘘つきめ……あんっ…」
「…可愛いっスよ ロイ」

躰の中で暴れまくっていた熱と、身動き取れなかった鬱憤による憂さ
をアンタで晴らすことになるのは、申し訳ないけどミッション直後の
俺に近づいてきたアンタが悪い。
舐めて齧って、泣かせて俺を請わせて、縋らせて。

スッキリした俺が、「エイプリルフール 楽しめました?」
と聞けば返ってきたのは「楽しんだのはお前だろう このケダモノ!」
という涙で目を潤ませた、色っぽくてたまらない大佐の表情だった。