宴の悪戯

宴のオマケ

「うふふふふ〜 かーわいいーーv」
 女体化した花月の躰を、背後から抱き締め
酔っぱらったヘヴンは上機嫌だ。

 諦めきった様子で、全身をまさぐられている花月を、
直視できないが、視界に必ず入る位置で他の者は見遣っていた。

(…ちょっと あの情報屋、あれだけフェロモン垂れ流しの
服着ていながら、レズなの!?)
 
 男性陣のように、目の保養と笑っていられない
卑弥呼が、蛮の首を締め上げながら、小声で尋ねる。
(いやぁ… 酔っぱらってるだけだと思うぜ?)
 さすがの蛮も、自信無げなのは、ヘヴンの過剰なまでの
花月への、くっつきぶりを目前にしているからだ。

「そうだ!」
 はじらい、うつむき加減で頬を染めていた花月が、
ヘヴンの悪戯を思いついたような顔に、ピクンと震えた。

「ねぇマッ君」
マクベスに向かい、満面の笑みで手招きをする。
「…マッ君…」
驚いた顔の少年王にも、ご満悦の表情を壊さず、にこやかに
「ね、私もバーチャルで、男性化させてくれない?」
爆弾発言を落とすヘヴンであった。

「……何で?」
思いもかけぬセリフに、表情を変えないのは
さすが現無限城の支配者というべきか。

「えーだって、こんな可憐で可愛くて、食べちゃいたい子が
手のうちで震えてるのよ? これが本物の女の子だったら悪さも遠慮しちゃうけど、
本当は違うんですもの」
 うふっと手を組むヘヴンに、悪寒が走る花月。

「こんなチャンス滅多に無いもの。どうせだったら、自分が男で
 花月君を落とすなんて、シチュエーション楽しんでみたいじゃない?」

 命を掛けた刺激に満ちた生活で、娯楽に飢えていた無限城の住民達は、
はしゃぎながらGOサインをくり出していた。(一部、猛反対者有)

「へぇ、こんな感じか」
躰の芯まで響く、低い声。

現れたのは、華やかな美貌の青年だった。
 流れる金髪は、変らずしなやかに肩から流され、
女の色気は、危険な男フェロモンに切り替わっているが、
面影はそのままだ。
 人の目を惹きつける磁力と、しなやかな存在感は男性となっても
変らないらしい。

「花月君より、一回り大きいぐらいの身長、という本人のリクエストに
よる体型だよ。…声も、そのスタイルから計算してあるから」

「ヘヴン…さん?」
おのれの拳をもの珍しげに眺め、握ったり開いたりしていた青年が
にっこり笑う。
「そう。 …結構イイ男でしょ?」
結構、どころではなく 少々軽薄そうにはみえるが、間違い無く「イイ男」だ。

「さて、じゃぁお約束」
「やっ…」
 当然のように、後ろから抱きつかれた花月が
瞬間、身をすくませた。

「……可愛い!! 可愛すぎる!!
あぁーもう、こんな子一人欲しいっ
っていうか、恥ずかしいポーズ取らせて、いけない言葉云わせて
全身あーーんな事やこんな事したーーーいv」

「な…何を言ってるんですか!! ちょっ…ヘヴンさん…
だ、だめぇそんなトコ 触っちゃ… や…ぁ」

  そんな初々しい花月の反応に、今だ酔っぱらいモードのヘヴンは
懲りずにその細い首へと、手を絡ませた。
 すりすりと、大形犬が前肢をかけてふざけているかのポーズ。
だが、傍から見る分には 
「ちょっと遊び人風情の色男が、深窓令嬢を誑かしているの図」
であった。

「あれは女…あれは女…しかも非戦闘員の女…」
必死で自分に言い聞かせつづけている、俊樹。
 ポキッ…ポキッ…
無言だが、手元の下には、折れた針が多数散らかっている十兵衛。
 姿を変えただけならば、気にならずに済んでいたものを、
マクベスがご丁寧に、声色まで換えてバーチャル化したので
あらぬ想像に走ってしまっているらしい。


 十兵衛・俊樹がキレるまで あと僅か。
わが身を守るのに、精一杯な花月は 
この一番の危険人物達の、マークをすっかり忘れているのであった。


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本当にすみませんっ!! …始末書いたら、絵を描きたくなって、絵をUPしたら、
今度はその小話を書きたくなるという、悪循環(^^;)
 本人は楽しんで書いておりますが、この部屋の趣旨とは、また外れた内容になってしまっています