贖罪  3


キョーコは、気付いてないみたい。
自分が「レン」を 好きだって事に…。
人の事には、気が回るし 
 よく心配りだってできるのに。
私に、ショウちゃんという
…好きな人が出来た事だって
すぐに 見抜いたのに。
 
 あれは、ひょっとしたらレン…の方も
気付いてないのかしら?
 キョーコの指導役の、大天使。
二人が一緒にしている姿は、友人という
贔屓目を引いても、凛として
相対する緊張感が、こちらまで伝わる
天使の名にふさわしい、一対だった。
 よく、仕事に対する姿勢で
ぶつかったりもしていたけれど…。
 私と二人きりになった時、キョーコは
「…尊敬できる、人だわ」っていつも
言っていた。
 
 並んでいると、レンの黒髪とキョーコの長い金髪が
蒼穹に映え、まるで絵画のような
壮麗さを放つ二人。

 ショウちゃんと出会ってから、
どこか元気の無いキョーコを、
励ますつもりで、私は声を掛けた。
「あのね… レンも、キョーコの事
好きだと思うわ。 …だから
キョーコも、恋人同士になってみたら?」
驚いたように、瞳を丸くするキョーコが、
ちょっと おかしい。 やっぱり
あれだけ お互いに惹かれあってるのに…
気付いてなかったんだ。
「応援するから」
続けた私の、言葉が終わるより先に、
キョーコが、私へと抱きついてきた。
 ぎゅっと、ちょっと痛いぐらいの力。
「…私は…もう… そんな資格がないの」
「資格…って?」
 まっすぐに、私を見ていた視線を外し
キョーコが俯く。
「…尊敬してる人…だったわ。
でも、今の私には…ミモリ、あなたが大事。
覚えていて。私は、何があっても
…貴方の幸せを、祈ってる」
この時のキョーコの
 哀しく優しい双眸と言葉は、
意味がわからない私でも
一生忘れられないだろうと、感じさせる
…彼女の決意だった。

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原作のプロモ編、終っちゃいましたので
妄想続き 書いちゃいました。