サスガニ マダ ナイデスケドネ

きっと 俺は 目の前で 子供が泣いていても
それが「自分の敵」であるなら 
ためらわず剣を振りおろせるんでさァ 
 
そう云って、嗤う俺を 見る、振りかえった土方さんの
眉は顰められている。


 血、を怖いとは思わない。
 紅く流れるソレを見ると
ようやく 自分も人間であると 思い知らされるようで。

痛みも 怖くない。自分への 
数少ない働きかけのようで。
 俺は空っぽだから。

ここでヒトが 笑うのだろう と判断した場所で
脳が 俺を 笑わせ、ここで ヒトが怒るのだろうと
判断した場所で、脳が 俺を怒らせる。
 心からの、動きじゃない。 
だから…気配に 敏感な連中は 戦場で 俺を
目にしただけで 恐れるのだろう。
 その時の俺の脳は 一言の元に支配させているのだから
「殺せ コロセ コロセ コロセ コロセコロセ」

 だから、きっと俺は土方さんや局長、認めたくはないけれど
チャイナ娘が 気に入ってるんだろう。
 心の底から、泣き、笑え、そして豊に 表現できる
連中が。

 なんて、考えていたら 
---ポカリッ

 唐突に、オデコを軽く 殴られた。
訳のわからないまま、文句の1つも言ってやろうと
開きかけた 俺の口に、タバコが一本。
 気のせいか湿った吸い口は、土方さんの加えていた
ソレだ。
 慣性のまま 吸込んだ空気に、馴染みない 煙が
蔓延する。

 げほっ
「何 しやがるんですかぃ!」
 咳き込む俺の 背中を 叩き、唇の端を小さく持ち上げる
土方さんの表情は、今まで見た事ないもので。

「タバコも呑めねぇ クソガキが、 イッちょ前に
難しい事 考えてんじゃねぇ」

 あぁ、子供をあやす 大人の顔だ。

 っぶ 
 吹き出したら、 止まらなくなった。
 バケモノの俺を、ひと撫でで 子供扱いですかぃ
やっぱり 俺は 貴方が好きですよ

 笑いすぎて、涙が滲んだ俺の 頭を
武骨な掌が、ゆっくり撫でる。

「土方さん メシ おごってください」
「…何で俺が」
「そうですか じゃぁ局長に『土方さんが
俺に 無理矢理あらぬモノを強要し、泣かせた』と
今日の見まわり日誌に書いて 提出しやすぜ」

「おーのーれーはーーー…」

 口には 絶対しやせんけどね。
アンタ達が いてくれる限り、きっと俺は大丈夫でさぁ

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総悟くんは ちょっと壊れてる所が好きなんですが
一応これでも 受けです。

自分が コワレテル自覺があるので、人間らしい人が
好きなんじゃないかな―と。
ところで 局長が総悟クンに甘々なのは何故…?