「あもやん! 今帰ったで〜!!」
 常にテンション高めの笑師であるが、今日の帰宅は常になく
ハイテンションであった。
 その手に持っているのは、白のツナギ。

「えみやん…それは 新しい衣装?」
「ちゃうで! これはあもやんの為に ワイが心血注いで
バイトしてきた成果や」

よくよくみると、そのツナギは布性ではなく
光を反射するビニールに似た素材で、しかもあやしげな
ヘルメットらしきもの迄、付いている。

「これは、NASA最新の宇宙服やで。周囲の空気は遮断して酸素は濾過。 更に、気温調節もばっちり サハラでも南極でも快適な
 温度が保たれるんや。
あもやん… いっつも外出の時は 変質者みたいな
格好せぇへんと あかんこと…気にしとったやろ?
 せやから、ワイの貯金と ここんとこの バイト代 注ぎ込んで 
あもやんの為に 店長の裏ルートで購入してん」

「えみやん…」
 人間全てを拒絶していた自分を 相方として受け入れて
くれたばかりか、こうまで受けとめてくれる笑師に、
亜紋の心は感動に揺れた。

 例え、変質者よりタチ悪い…あやしすぎる格好であろうとも
笑師なら 平気で 横にいてくれるであろう。
 自分は 恥かしいから、などといって この好意を
拒絶などできるものか

「えみやん! すっごい 嬉しいよ…
ここの所、バイトで 遅かったのはこれの為なんだね」
「ワイがあもやんに したかっただけや 気にせんといてや」

ちょっと照れたように笑う笑師は、本当にイイ奴だと
眩しいほどだ。
 感動で互いに手を取り合って、見詰め合う笑師と亜紋。

(…ところで、笑師が夜バイト行ってるのってホストクラブ
だよね…? 何で行く度に怪我してるのか
不思議だったんだけど…裏ルートって…)


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この二人は本編が本編でしただけに、幸せにしてあげたいです