コンコンッ…
軽いノックの音に、返事はない。 花月が在宅時は
2秒とたたずに「どなたですか?」という声が
返ってくるから、不在なのだろう。
 諦めて、踵を返そうとした 俊樹の耳に、微かだが
パタパタと走り寄る、音が聞えた。
「あ、待って俊樹。 ちょっと手が離せなくって…」
 いてくれた、と嬉しく思う反面 慌ててるような花月の声に
心配が湧き、ドアノブを捻った。
 予想外に、鍵は掛かっていなかったらしく 簡単に
扉は開いた。
「そろそろ来る頃からなって、鍵開けといたんだ」
 声につられ、顔を上げるとそこには 半裸に近い姿。

「か、かか、花月… そのカッコは…」
「え、掃除してたら 汗だくになっちゃったから
シャワー浴びてたんだけど?」
 着替えながら 出てきたのだろう。まだ素肌には
乾ききっていない 水滴が数筋 涼しげに光っている。

「っ邪魔をしたっ!!」
 即座に扉を閉め、表に出ると同時に
しゃがみこむ 俊樹。
「……勘弁してくれ」

 扉の内側では
「…俊樹 何しに来たんだろ?」
と 首を傾げる 花月の姿だけが残されていた。

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暑いです。 毎日アイスとかき氷ばかり食べてます。
という訳で涼しげな花月を描いてみました。
…昼メロ劇場 倫理規定的に大丈夫でしょうか。
 今回は俊樹救済計画を目指しましたが、やはり
ヘタレのまま 終りました。