仕事帰り、偶然前を通った 貴金属店。
俊樹自身は それほど アクセサリーに興味はないが
十兵衛に比べると 世俗の流行に 気を配る俊樹は
ふと目に付いた、ペンダントに足を止めた。

小さいが、重厚な雰囲気のショップには
精微な細工の品々が 色々と並べられている。

俊樹の目に付いたのは 
花と月がモチーフの、ペンダントトップだった。

「いらっしゃいませ お客様
そちら、お気に召しました?」

邪魔にならぬよう、控えていたヘヴンが
ケースから、それを取り出す。
「こちら、 一点もので人気がある作家の
デザインですのよ。 対で指輪があったのですけど
残念ながら、そちらは 売れてしまいまして…」

手にした鎖は、シャランと 軽い音を立て
流れるように手首へ流れる。
 どちらかというと、ボリューム系美人な
ヘヴンには 似合わない。

ふと
(清楚な 花月には 似合うだろう…)
という思いが沸きあがる。

そうと決めて、店に入ったのではないが、
気付くとプレゼント用にラッピングされた
ジュエリーケースを握っていた俊樹。

(花月は…喜んでくれるだろうか)

足取り軽く、帰宅する俊樹は
それだけで 幸せそうだった。

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久っ々の出番俊樹です。
しかし相変わらず 彼のみロンリーです。
周囲の意見も 「俊樹可哀想」なのですが
更にその後、「でも、それが俊樹ですよねv」と続くから
更に可哀想です…