「あれ、こんなのも出てきちゃった」
ファイル整理をしていた鏡が、手元から
落ちた写真を拾う。

「うーん あまり美意識に沿わない
写真だから、あとで始末しようと思ってたんだっけ」

そういいながら眺める写真の1枚は

『連続長時間御指名を受けていたライが
逃げ出したさの余り、入ってきた女性客に
「ぼくを 指名して下さい〜」と
泣き付いてる図』

ちなみにライとは 銀次の源氏名である。
やんちゃしていた頃の仇名が、由来らしい。

そしてもう1枚は…何と言うか…
濃い… 
『貴族趣味の服でありながら
不精ヒゲをはやし、なぜか薔薇の花束を
差出す 男』
であった。

「美堂クンも、ヘンなのに好かれること
多いよね」
他人事のように 笑っている店長。
「うーん 棄てようと思ってたけど
ここぞと言う時 嫌がらせにでも
美堂クンに 使えそうだね。
あ、そうだ おもしろそうだから
エフェクトかけて、後ろにキラキラ加工でも
しよっと♪」


---後日、これをポケットから落とした
店長は 従業員達から あらぬ妄想を
かきたてられる 破目になるのだが…
この店長は それすらも楽しんでしまう、ツワモノであった。