花月は、朝からワクワクしていた。
今日は、十兵衛が新しいお客さんを連れてくるらしい。。
どんな人かなぁ〜。
銀次さんみたいに、かわいらしい人だったらいいな。。。。
そんなコトを考えながら、食事の支度をしていた。

−ピンポーン☆−
「はぁい、いらっしゃいませ〜」

十兵衛のあとに入ってきた青年二人は、、
ちょっと奇妙な格好をしていた。

「まいど〜〜お邪魔しますわ〜」
そう言って入ってきた青年は、ピンクのサングラスに髪を束ねた青年。。
その後ろから現れたのは、帽子をふかぶかとかぶり、
ゴーグルにマスクをしていて、、この人、、
宇宙人?と思われてもおかしくないような服装だった。

まいど???会うのは初めてだけど????
関西弁慣れしてない花月は、、すこし戸惑う。。

「ど、、どうぞ、、いらっしゃいませ。。。。ゆっくりしていってくださいね」
そう、微笑んだ花月に、さっきの宇宙人が飛びつく。

「はじめまして〜〜綺麗な奥さんだね〜〜。ねぇねぇ、旦那さんと別れて〜〜、
俺と結婚しない〜〜???」
服装だけでも突飛だったのに、あまりの突然の突拍子もない物の言い草に、
花月も、十兵衛も、、あっけにとられて硬直してしまう。
「こら、あかんがな〜。冗談はネタだけにしぃや〜〜。
えろう、すんまへんなぁ〜奥さん〜〜もう、ええやろ?帽子とゴーグルとマスクとりや。」

そう、関西弁の青年に促され、中から現れたのは、
切れ長の眼の茶髪の青年。どことなく、、あの店長さんに似ているかも、、、
といったような風貌だった。
「すまんなぁ〜こいつとは、最近、知り合うたんやけど、、
山奥で育ったせいか、都会の環境になれまへんのや。」

「うん、俺、、あんま人ごみとか苦手でさ〜〜。すぐ、身体、
ば〜〜って蕁麻疹みたく出ちゃうんだよね〜〜。
化学薬品とかもだめみたいだし。ちょっと、不便な体質みたいなんだ。
でも、あんまし人数多くなかったりとか、人と距離があると割と大丈夫みたいなんだけど、
、だから、俺、自宅でできるバイトじゃないと出来なくて、、
笑師にばっか、、負担かけちゃって。。」
「何いってまんのや!わいが相方と認めたんわ、お前だけやで、、一緒に頑張って天下とろうやないか!」
「おう!!

話を聞くと、どうやら、二人は、お笑いを目指して、
日々頑張っているらしい。
自分と、十兵衛は、誰にも負けない強い絆で結ばれていると思っていた。。
でも、外の世界にでてみて、銀次さんと美堂くん、、そして、目の前にいるこの二人も、、
(自分達とは、絆というものの質や形が違うかもしれないが)強く、
心が結びついているのだなぁと、、お互いを庇い、励ましあう姿をみて、花月はそう思った。

「で?十兵衛と、笑師くんは、、やっぱり現場とかで知り合ったの?」
。。。。この前、蛮に連れ去られて、ホストしちゃいました〜、、など、言えるわけがない。。
「え!?あ、あぁ。まぁ。。」と。うそのつけない馬鹿正直な反応をしている
十兵衛を見かねて笑師が口をだす。
「せや。わい、時々、日雇いのバイトしてんねん」
まぁ−日雇い−には違いない。。。。あながち、、うそではない、、

「あ、そや、招いてくれた御礼に漫才みせたるわい!!」
なにやら、亜紋と耳打ち(たぶん、ネタあわせ)をして、即興のステージに立つ。

「ぱんぱかぱ〜〜〜ん!!はい、どうも〜〜えみやんです〜〜」
「あもやんです〜〜〜」
「二人あわせて。。。」
「。。。。。。。。。。。。。。。」
「なんやねん!二人あわして」
「っていうか、コンビ名決めなくっちゃだよね〜〜」
「決まってへんのかいな〜〜〜ほな、募集しよか」
「ひとまかせかよ!」
「あて先は、ここ、、ここまで送ってくれな〜テロップでてまっか〜?郵便番号は、、」
「テレビじゃないだろ!!」

お笑い的には、こってこてのネタだった。
十兵衛には、、いまいち、この笑いの「つぼ」が理解できなかったが、、、、
花月は?と、みると、、
楽しそうに、手を叩いて、笑っている。。。

(か、、花月、、これ??面白いのか???)
あまりにも、無防備で、自分に向ける笑顔とは、また、ちょっと違った。。けれど、
極上のかわいらしい笑顔で笑っている花月をみて。。。
(単なる漫才なのだが)自分に対して向けられた笑顔ではないということに、
かるい嫉妬を覚えた十兵衛は、、
自分も、修行すればギャグのひとつやふたつ言える。。と、心の中で思い、、、自分のギャグで花月を笑わせてやろう、と、傍から見ると、
かなり無鉄砲な闘志を燃やしたのであった。。。

そうとも知らず、、ベターな漫才を続ける笑師と亜紋、。。それをみつめる花月。。
そして、、意気込みだけは、真打級の筧十兵衛。

ここに、ギャグ戦争、、勃発か!?


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えみやんあもやんにまで、嫉妬を覚えるとは 案外 心狭いな侍(笑)
なんて、文章だけ先に読んでいて 思っていたのですが
イラスト見て、それすら 愛らしく思えました! Tシャツで困った顔の
十兵衛が かわうい〜 客が来るからと露出を戒める十兵衛
好きだ〜。 あ、勿論 赤青のツナギを着せてくれたふーかさん
云うまでもなく  大好きです♪