「ルックスと立ち居振舞いは、超一流クラスなんやけどなぁ」
ふぅと重い吐息を付くのは、簡単な指導をするように
依頼をされた笑師。 友人である蛮(正確には友人の友人)
はいわゆる『俺様主義』の為、愛嬌ナンバーワンの
笑師が鏡により 付けられたらしい。

「ほら、こう 笑ってみいって。良い男ぶり もっと上がるで?
ホラ スマイルやがな」

(スマイル…等というが、所詮某ファーストフード店で
¥0の価値しかないものを、無理する必要があるのだろうか)
一生懸命な笑師のアドバイスも、こんな事を
密かに思っている十兵衛には 馬耳東風である。

「あぁ…わいの相棒 亜紋の 笑顔見せたりたいなぁ」
「亜紋?」
「せや、ちょい昔は こう …人を拒絶する、仮面めいた
笑顔しかできへんかってんけどな。今は 色々乗り越えて
ほんま えぇ顔で笑うねん」
「…見てる こちらまでが 幸せになれるような
笑顔…ということか?」

花月の微笑みを思い起す十兵衛は、その言葉に
共感を抱き、密かに口端を上げた。
「あ!! 笑った! 店長 笑ったで!」

「へー 笑師君 すごいね。お疲れさん」
 
(後ろから観察してて、二人のやり取り面白かったから
思わず デジカメに落としちゃったよ。…てことは
黙っておいた方がいいかな)

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ふふふふ ふーかさんが素敵旦那を描いて下さったので
またしても、小話付けて見ました。
ふーかさんの御要望により、あもやんも無理矢理登場!
しかし…流れからここだけの出番で終わってしまうか?