チャイムを押す指が、寸前で止まること5回。
 通りすがりの誰かに見られたら
「妖しい人物がいます!」
と通報されてもおかしくない行動だが、
幸い 通行人は 今のところいない。

6度目の挑戦になる、チャイム押しの前に
 俊樹は、深呼吸を一つした。
このままでは 今時の小学生でも
行わない、ピンポンダッシュをしてしまいそうだ。

(俺は ただ旧友に 遭いに来ただけだ。
たまたま この地区の配達だったし
…別にやましいことは何も無い)
 自分自身に、言い訳をしてる辺り
かなり疚しさぶっちぎりなのだが、
それは あくまで他人からの目で見てこそ
判ることで。
 (手土産に、米だってある! 行くぞっ!!)

…新妻にふさわしい手土産かどうか、
考える余裕も 今の彼にはなかったらしい…

意を決し、武術遣いにふさわしい
長い指が ようやくボタンへと届いた。
--ピンポーン
(…澄んだ、良い音だ。
花月の住まいに、ふさわしい)

チャイムひとつで、こんな事を
思う辺り、かなりな末期症状である。
 大体、団地一帯 同じ物が
組み込まれてるのだから、理論的にも
変だ。
 『…どなた、ですか?』
扉越しに尋ねる声に、一層鼓動が弾んだ。
『え、俊樹?』
 花月の声が、嬉しげに聞こえるのは
自惚れだろうか。
 カチャカチャと鎖を外す音。

「いらっしゃいv」
花月の耀くような笑顔に、俊樹は一瞬
眩暈すら覚えた。
(か、かかかかか、かわいい…
いや、駄目だ、これは 人のものだ。
たとえ フリフリが俺を誘おうとも、
白の繊細なレースが、男の浪漫だとしても、
背景に めくるめく大輪の薔薇が見えても、
これは、…人のもの
手を出してはいけないんだっ!)

「…俊樹… 聴いてる?」
小首を傾げ、己を伺う花月の声に、
かろうじて理性を取り戻す。
「あ…すまん ちょっと
考え事をしていた…」
「(サンドイッチ)食べてってね、
言ったんだけど」
(食べる!? たたた、食べていいのか
花月!? いや お前がそこまでいうなら
俺は…。 いやだが、俺は人として
卑怯な道は選ばない…。
花月ハ 今ハ 十兵衛の妻ナンダ

 …しかし、男の夢、白エプロンの新妻!
しかも 花月!俺は米屋!!)

…すでに 思考回路は 麻痺している俊樹。

 目の前の男が、こんな危険思想に
陥っているとは、まるで気付いていない花月。

 がんばれ旦那! 花月センサー、危険警報発信だ!
早く帰らないと 食われちゃうぞ♪

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ふーかさん!!こんな 美味しそうな花月、米屋の前に
出しますか!? あ、ちゃんとこれは俊樹'S 妄想と書いてある(笑)

で、こちらの妄想に走る俊樹文章 付けてみました〜v
皆様、 ふーかさんの所行って これの原寸サイズ拝んで見てくださいv
俊樹と一緒に 悩殺されます!