こちらのコーナーは 美花月亭 ふーかさん(LINK
ページよりどうぞ)の「新婚十花シリーズ」に
俊樹が米屋で乱入、と言う私のタワ言から 始まりました。
パラレルも いいとこで 更に 設定も都度
滅茶苦茶ですが どんと来いな お方御付合いくださいませ


ピンクのハートエプロンに、キュートな表情
…これで 迷わない米屋がいましょうか!
いや、いまい と小説にしたのが下記の私の作品です

図々しくも 共催コーナー立上げ。
尚 こちらのイラスト 美花月亭さんで拡大で拝めますv

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 うららかな 春の日差し。
ぽかぽかと 暖かい陽気のせいだけでなく、
花月は幸せだった。

 幼馴染である十兵衛との、禁じられた恋からの
駆け落ち。 
 歴史有る風鳥院家の歴史より、その跡取としての
重みより、自分は十兵衛が大切だったのだ。

 今だって、家の事を思うと、胸は痛む。
そして それを支えてくれる筧家の跡取との
二人掛りでの裏切り。 そうであっても、
…いやそうであるからこそ
「俺と 逃げてくれ」という
十兵衛の一言は、泣きたくなるほど嬉しかったのだ。

「…一生 口にしちゃ いけない想いかと
思ってた」
 喜びと、責任の狭間で 泣きじゃくる花月を
強く抱きしめる十兵衛。
「…すまない」
「謝らないで…。僕こそ 君に
謝らなくちゃいけなくなるから」
 禁忌を破る立場を、選択させたのは
自分だ。 上の立場に居る筈の花月より、
十兵衛の方が、数倍苦しかっただろう。
まして、生真面目で古風な彼だから。
待つだけで、何もしていない自分を
抱きしめてくれる、逞しい腕。
「一生、貴様を護る。幸せにすると誓おう」
「…もう、充分に幸せだよ」
 こうして、二人の新婚生活は始まった。
 
 二人の生活を養う為、十兵衛は現在
割のいい 肉体労働…いわゆる土方をしている。
 自分も働きに出る、と花月は申し出たのだが
世間知らずの花月に、労働はさせられない。
それより、自分の還ってこれる場所を
守っていて欲しいと言われ、専業主夫の
立場に甘んじていた。
(実際には、十兵衛の密かな独占欲も
含まれているのだが、当然花月は気付いていない)

「さて、洗濯物は干したし…掃除でも
しよっかな」 
 戸棚に仕舞ってある、ふりふりエプロンを
装け、はたきを持った瞬間、玄関のチャイムが鳴った。
 ピンポーン---。
この時間に、十兵衛が帰宅するはずもない。
ひっそりと 暮らしている二人に、来客も
皆無だ。 誰だろう、と小首を傾げ
玄関へ降りる花月。
「はい?」
「米屋です。旦那さんに頼まれて
配達に来ました」
 そういえば、朝食の席で十兵衛と
お米が切れそうだから、買いに行かなくちゃ
と会話していた記憶がある。 
 気を利かせ、十兵衛が配達を頼んでくれたのだろう。
「あ、すみません。今開けます」
 カチャカチャと、チェーンを外しドアを
開ける。そこに立っていたのは、シルエット越しにも
判る長身の青年だった。
「…お待たせ致しました…あの、何か?」
抱えている米袋を渡すでなく、自分の顔を
凝視する配達人に、花月は問いかけた。
「…花月…か?」
「え?」
 声変わりしたとはいえ、記憶に刻まれた
深みある声。 
 逆光で、よく見えなかった相手の貌を、
改めて見直す花月。
「……俊樹!」
「では、店に来ていたのは
やはり 筧か。俺はその時、店の奥に居たので
声だけを聞いたのだが…」
 そこに居たのは、十兵衛と花月の
幼馴染、俊樹であった。
 大和古武術の使い手として、風鳥院家との
交流があった村雨家。まれに遊びに来ては
戯れていた一時は、余人と会うことが稀な
花月にとって、貴重な思い出だった。

 十兵衛とは、別の意味で 自分を気遣い
大事にしてくれていた俊樹。十兵衛が掟に従い、
その中で自分を徹底的に護ろうとするのに対し、
俊樹は掟に逆らってでも、自分を護ろうとしてくれていた。
 その為、彼が実の親とも 折り合いが
悪くなってしまっていたらしいと知ったのは、
俊樹が家を出て、数年経ってからだった。

 古武術派同士の結びつきを、強めようと
花月と俊樹の縁談が 持ち上がっていたのだ。
「風鳥院花月を娶れば、正式な後継ぎとしてやる」
 そういった父の言葉に、反発し 俊樹は
家を出た。 そして、…今に至るまで
花月たちにも、その行方は知れていなかったのだ。
「…俺は あの時…
お前を嫌って、姿を消したのではない…」
 じっと 自分を見詰める花月から、
眩しそうに目を背け、俊樹が呟いた。
「うん…、わかってるよ」
 俊樹は、むしろ自分のために その
名を棄ててくれたのだろう。
 花月の立場では、断ることが難しいと理解の上で。
「…また、遭いに来ても良いか?」
 囁くような問いかけを、断れるはずもなく…。
花月は 小さく頷いていた。
 
 ぬるま湯のような、新婚生活の前に
嵐の予感が 漂い始めようとしていた…。


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…やってしまいました 愛の昼メロ劇場。
続き…はどうなるか、まったく本人達にも
検討がついておりません。(笑)