90000リク小説

「第1回 新旧voltsメンバー
『十兵衛の言葉遣いを何とかする会』を
行います。司会は、今回僕こと
絃の花月が務めさせて頂きます」
 パチパチと一生懸命手を叩くのは、俊樹のみ。
 
 他のメンバーは、一様に
『どーせテメー等の 痴話げんかに
俺達まで 撒きこもうつーんだろーが』
とあからさまに 不満げである。

「あのさぁ、またケンカでもしたのか
知らないけど、
十兵衛のダジャレなら
一言 花月君がつまんないよ ソレって
指摘するのが 一番だと思うけど?」

 頬杖を付きつつ、ポケコンを叩きながらではあるが
マクベスが一応、意見を述べる。
「…え? 僕は十兵衛と
ケンカして 言ってるんじゃないけど」
 不思議そうな花月の声に、
思わずマクベスも顔をあげる。

「あのふとんがふっとんだ とか
そんなバナナ が気にならないの!?」
「なるかならないかって 聞かれたら
それはなるけど…。
 でも、あの一生懸命なところも
十兵衛らしくて、僕は好きだよ」
「…そりゃぁね、普段 離れてたら
あの訳わかんない 叫びに付きあわなくても
いいもんね」

 思わず ちょっと皮肉めいたマクベスに
花月が にっこりと笑いかける。
「それなら、僕から 十兵衛に
言ってあげようか? つまんないって。
…そうしたら、彼の事だから
『俺には まだまだ修行がたりん!』
とかいって、
ますます ダジャレ修行に励むと思うよ
で、俺の成果を見てくれ!なんて云いながら
マクベスの仕事ルームに入り浸り」
 少年らしさの多々残る、眉を思わず顰めた
マクベスはその様子を想像しているのだろう。

「…あのー花月ハン」
恐る恐るといった様子で、片手を上げた笑師。
「仮に、花月ハンが 面白い っちゅーた
場合も、同じような現象 起こるんと 
ちゃう?」

『そうか!面白いか!
ならば、早速マクベスに報告せねばっ』
 勢い良く、コンピュータールームに
飛びこむ十兵衛。
『マクベス!新作だ 花月も
面白いといった、数々の作品
聞いてくれ!!』
 脳内に一斉にシュミレートされる
上記の図。
 
 ふぅと聴き様によっては
悩ましげな吐息の後、パンッと
手を叩く花月。
「えーやはり 今までの
各意見を総合すると、
『十兵衛のダジャレに関しては
僕が触れないほうが、良い』という
結論になりました」

「花月…それなら
その…俺から『貴様のダジャレは
聴くに耐えん』と率直に いってみるが?」
 十兵衛本人の前では、そのような気遣いは
見せないがやはり、傷つけてしまうかも
しれない事に、躊躇しながら 俊樹が言った。

『何だと!…ふ キサマにこの高度な
技が理解できんのは 無理もない』
『なに!?』
『ならば、キサマの方も、俺に
負けぬシャレを 述べて見るが良い!』
『良かろうっ筧 貴様には負けんっ』


「えっと、ホラ 俊樹と十兵衛は
ライバルだから…。
 俊樹だって、同じ事を僕に言われたら
気にならなくても、十兵衛に指摘されたら
ちょっとイヤな時もあるじゃない?」
「せやせや、ここは 無茶せんと
黙っとこ」
 間髪入れず、フォローに入る笑師。
また、他のメンバーも一斉に力強く 
頷いている様子から、
同じような図を想像したのだろう。
すなわち
『二人掛りで ダジャレ合戦を広げる
親衛隊』だ。

「で、結局 何の成果もないまま
今日の会議は終りだね」
 立ち上がりかけたマクベスの袖裾を、
軽く掴む花月。
「待って」
「まだ何かあるの?」

「うん、本題…というか
こっちがメインなんだけど 無限城の中って
ちょっと特殊…だよね?だからって
言葉遣いまで特殊なんてことは、ないよね」
「今更、なこと聴くね花月君」
「実は…昨日なんだけど…」

「花月!花月のような者を3Kと
呼ぶのだな」
 日頃、あまり見せない爽やかな笑みを
浮かべ、十兵衛が振り返る。
「…ボクが?」
「あぁ。気高く、綺麗で、心地よい
…ピッタリだ」
(懐かしいなぁ今更3Kか…
それに、3Kって高学歴・高身長・高収入の
意味だけど…まぁいいか)
「そう ありがとう。でも
よく 十兵衛知ってたね。そんな言葉」
「色々と学ぶべき事が多いからな
ナウイだろう?」


「…ナウイと来たんだ…」
「ぶっ じゅ、十兵衛ハンらしいでんな」
肩を震わせ、必死で笑いをかみ殺す
二人。
 動じてない俊樹は、既に言われたことが有るのだろう。

「あのさ、人事みたいに言ってるけど
マクベス。それに笑師も。
仮に 一緒に追跡中にだよ
『敵は今、あのナウイ店の角を曲がった!』
なんて 叫ばれてご覧?」
 
…確かに、追い掛ける気力も、分析する能力も
瞬時に衰えてしまいそうだ。

「えーー、ここで司会をチェンジします。
若き帝王マクベスこと僕が主催
『本気で 筧十兵衛の言語力を何とかする会』
今より 打ち合わせに入ります」

 6時間後、無駄な討論の繰り返しで
脱力しきったメンバーの元に、顔を出した十兵衛。

「皆、元気がないな。…そうだ
俺の話で、明るさを取り戻してくれ!」
と 爽やかに 一人漫談を繰り出し
全メンバーの残る気力を、奪い尽くしたらしい。

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90000hitリク ありがとうございました
風雅で小説(ギャグでも小部屋でも)と頂きましたので
ギャグの方に走らせていただきました。
 うちの十兵衛=ダジャレで固定しまくってます。
でも、あれがあってこその彼だと思っていますので
私は 大好きなのですが…
原作の「そんなバナナ」のコミックス化待ち遠しいです