走って帰って、制服を着替えるより先にテレビをつける。 (よかった!間に合った!) 画面に『ドッキリ☆大!作!!戦!!!』の文字が現れたのを見て、慌ててDVDを起動し録画のボタンを押した。 帰り際にメールをチェックしたら、今日は両親揃って仕事が遅くなるらしく、お詫びメールが入っていたけれど、お詫びどころか大量の仕事に感謝だ。 生真面目な父も、おっとりした母も『人を騙して、笑うような番組なんて…』とドッキリテレビを嫌っているので、普段であれば私も見ない。 けれど、今日は特別だった。 昨年封切りされて、大人気になった映画『弱虫ペダル』の東堂尽八と巻島裕介がターゲット&仕掛け人として登場するというのだから、これはもう見ずにはいられなかった。 部屋のパソコンはテレビチューナーもついてるので、こっそり見ることはできるのだけど、一人ならリビングの大きいテレビで二人のやり取りを、しっかり見れる。 何より今日の放送をオンタイムで見たかったのは、ドッキリの後半がなんと生中継で続くから…だった。 だらだらとどうでもいい…なんて言ったら失礼だけど、偉い人がペーペーの人に怒ったフリをするドッキリが最初に始まった。 こういった仕掛けは、現代だとパワハラに相当するんじゃないかなあ、なんてお茶を用意しながら思う。 待ちに待った巻島さんのドッキリ作戦は、番組丁度中間に始まった。 巻島さんは俳優として有名になってきたけれど、本業はモデルだということで、あまり喋るのは得意じゃないみたいだった。 旅行番組なんかに出ると、何故か人気のないほう人気の無い方へ進もうとするし、食事をすれば、マイバルサミコ酢を出して、料理にふりかける。 通常5秒(?)だったかな記憶にちょっと薄いのだけど、音声が途切れると、業界では放送事故扱いになるらしいけど、巻島さんの出演する旅番組は 数え切れないほどその放送事故スレスレな音声なしタイムがあったりもする。 スレスレで済んでるのは、巻島さんが喋らなくても街の人ごみの声だとか、鳥のさえずりなんかは聞こえてくるので、事故扱いになっていないというレベルだった。 この前なんかは、 「あ〜山があるっショ」と呟いたきり、延々と山に向かってレンタル自転車でのぼってく巻島さんがずっと放送されていた。 これがファンの間では、まったく予想もつかない旅番組として、人気があるのだから、面白いと思う。 一方東堂さんといえば、こちらはもうトークの神様レベルだった。 街中のアポなし撮影もさらりとこなし、旅行番組では通りすがりのミスやマダム、レディーにお嬢ちゃんとあらゆるジャンルの女性に貢がれ、名物を一通り気付けば味わっている。 礼儀正しいので、年配の方にもよく気に入られ、食事の表現も詳細かつ美味しさが伝わるものとして、見るものを楽しませてくれている。 こんな二人が、映画撮影中に徐々に仲良くなって、今では最高のライバルかつベストパートナー(といっても東堂さんが言っているだけで、 巻島さんは否定しないというレベル)というのだから、興味深い。 あまり芸能関係に詳しくない私は、最近になって知ったのだけど、映画撮影前の二人は犬猿の仲、寄るな触るな当たれば斬るぞというような 関係だったと聞いて、随分驚いた記憶がある。 私が二人の名前を知ったときにはすでに、東堂さんはひたすら「巻ちゃん!」を連呼し、巻島さんは肩を抱かれてもちょっと困った顔で、 好きにさせているような関係だったから、昔からすごく仲がいい二人なのかと思っていた。 「あ、はじまった」 事務所のソファで、疲れたっショと休んでいる巻島さん。 そこに映画で後輩役だった、赤い髪の…鳴子くんが台本らしきものをもって、飛び込んできた。 「あ!巻島さん おもろい仕事はいりましたで!」 にっこにこと上機嫌な鳴子くんに対し、巻島さんは少し複雑な表情だった。 「…お前ェのおもろいは、オレにとってキツそうな仕事としか思えねえっショ…」 テロップで トークの大好きな鳴子くんとなるべく喋りたくない巻島さん の文字。 ああ、そういう意味か。 「いやこれはホンマおもろいですって! …巻島さん、前東堂さんシツこいって訴えとったじゃないスか」 「え、いや…しつこいとは言ってないっショ ただちょっと…これ……」 巻島さんがそっと出してきたのは、スマフォだった。 画面にはモザイクがかかっているけれど、それを見た瞬間鳴子くんが顔色を変えて 「うおっぉ…!こっわ!!!なんやこれ!!着歴びっしり東堂さんの名前で埋まっとる!!こっわ!!」 と叫び、画面の状況がこちらにも覗えた。 その後しばらく、無言で画面をスクロールされていたんだけど、ぼそっと 「うわぁ…まだ続いとる……」って呟いてたから、きっとどこまでも東堂さんの名前で埋まっていたんだろう。 ちょっと羨ましい…なんて思ったのは、最初の画面の時点でぐらいで、後はこちらも「す、すごいな…」としか感想は出なかった。 東堂さんって、巻島さんの事を本気で好きなんだなあ。 「…で、鳴子仕事の話は?」 スマフォを見て固まっていた鳴子君に、巻島さんが声をかけて、はっとした様子で鳴子君が向き直る。 「東堂さんに、ドッキリしかけてみません?」 「ドッキリ?」 今回巻島さんに来たのは、ターゲット東堂さんの仕掛け役だった。 東堂さんと同じ仕事になった時や、プライベートに会った時に雑誌もしくは新聞をさりげなく、目に入る位置においておく。 その一面に特集スクープ『この薬一つで、男性が女性に、女性が男性に変わる画期的な新薬開発!!…か?』の大きな文字。 あ、CMが入った。 今のところの様子だと、巻島さんが女体化してしまうというのがオチ…というより、びっくりのポイントみたいだ。 少し悩み顔していた巻島さんに、「こぉんなおっぱいぼよーーん体験が、自分でできまっせ!」と鳴子君が押している。 「…いや…おっぱいは嫌いじゃねえケドよ…自分についててもなあ…」 「東堂さんをちょっと、動揺させてみたくないんすか!」 「それは…見てみたいかも…」 「せやったら話成立!仕込み入りましょか!!」 と放送再開早々、ノリノリだ。 その雑誌もしくは新聞は、ゴシップ記事が多いことで有名で、某裁判でも「○○新聞でこう書かれてるぐらいなら、真実じゃない」と判決文で読まれたという過去がある実績持ちだ。 そんな半信半疑の記事を読んだ状態で、巻島さんと東堂さんが二人で『お家の医学』という番組に出演。 司会者がトークで「新薬を特別ルートで手に入れましたが、東堂さん、誰か飲ませたい人いますか」と振る。 その場合東堂さんは、現場の空気も読んで、十中八九「巻ちゃん」と答えるだろうから、そこからドッキリ開始だ。 東堂さんの「巻ちゃん」ネタは、巻島さん当人にとって幸か不幸か、もう公認になっている。 勿論記事は仕込みで、そんなクスリは開発されておらず、他の人が被害にはあう心配もない。 淡々と 「じゃあ東堂がオレにじゃんけんで勝ったらのんでやるっショ」と答える巻島さん。 司会者が「いいんですか?女性に変わってしまうかもですよ!?」といわれても、○○新聞でのみの記事っショ、本当だったら世界中で大ニュースになってるっショと答え、周囲は納得。 じゃんけんをやって、(ここは仕込みでない筈なんだけど、東堂さんストレート勝ちだった)負けた巻島さんが薬を飲むと……。 ああもうまたCM!! 画面が切り替わって、巻島さんの楽屋控え室らしい。 女性二人が特殊メイクの装備をぎっしり用意し、ギミック…にしては本格的過ぎるおっぱいを手にしていた。 なんでも実際の手術などでも利用されている、本格おっぱいらしく見た目はつややか、尖った胸先は美しいピンク……作り物だけに理想の、完全なおっぱいだ。 …これはゴールデンタイムに放送しても、大丈夫なものかなあという疑問はさておき、その完璧おっぱいは巻島さんの胸元にぺとぺとと塗り固められていく、 …この絵面は、相当にヤバい。 上半身を脱いだ巻島さんに、おっぱいが塗り篭められていくにしたがって、皮膚の境目は完全にわからなくなり、途中から画面は首から上しか映さなくなっている。 舞台モデルをやっていた巻島さんは、パリコレの変な衣装に比べれば上半身裸が映されたってと動じないけれど、見ている方が、なんだかおかしな気持ちになってしまう。 テレビ越しにもわかる、滑らかな白い肌に、…理想な完璧なおっぱい。 途中から乾いた箇所をタオルで巻いて隠すようにしたのは、メイクさんの英断だった。 なんというかそれほど自然な、巻島さんの美乳。 ほっそりとした腰つきと薄い肩のせいで、おっぱいが違和感を感じさせないと言う、これも放送事故になるのだろうかというおっぱい。 実はここまでが録画放送で、ここからが、私のお目当てだった生放送への切り替えだった。 巻島さんはこの美乳スタイルで、東堂さんのところを訪れる。 「あの番組のせいで、女になってしまったっショ!お前のせいっショ…責任……」 と迫って、東堂さんを困らせるのがドッキリだった。 東堂さんが困りきったところで、ドッキリ大成功!とやるため、巻島さんはバッグにクラッカーまで潜ませている。 生放送に、画面が切り替わり右上にはLIVEの文字。 司会者はスタジオからの実況中継で、カメラは気づかれないように望遠になっていた。 スマフォを取り出し、東堂さんに 「…ちょっと…相談があるっショ……」と話す巻島さん。 どうやら東堂さんの自宅を訪れるらしく、タクシーを拾った。 住所がばれないようにだろうけど、モザイクがかかった広いエントランス部分にラフな姿の東堂さんは待ち受けていた。 オフだったらしく、軽くカーディガンを羽織腕まくりした姿は、カッコイイの一言だ。 東堂さんが部屋に行こうというのを、巻島さんが押し留めて公園へと移動した。 画面には「室内にはカメラがないので、公園に誘う巻島さん」のテロップ。 広くて緑の多い公園は、夜になると少し怖い。 これは普段だったら、恐怖映像特集とかで見る画面だな…と思うのは、高級住宅街で公園に子供もカップルの姿もないからだろうか。 でも巻島さんと一緒にいる東堂さんは、すごく楽しそうに微笑み、逆にこれから騙すためのウソをつく巻島さんは、いつもに増してしゃべり方がたどたどしくなっている。 …正直、どう切り出そうかあわあわしている巻島さんに、萌える。 「えっと東堂…相談があるっショ…」 「電話でもそう言っていたな オレを頼ってくれて嬉しいよ巻ちゃん」 画面に『うれしいとか素で言っちゃう東堂さんマジイケメン』のテロップが入った。 きっとこれツイートとかで今、hottoワードになってるんだろうな。 少し首を傾げるようにして、にっこり笑う東堂さんの目をまっすぐ見れない巻島さんだけど、そのせいで悩み事が本当らしく見える。 促すように覗き込まれ、巻島さんもようやく口を開いた。 「あの…この前飲んだ薬…あったっショ…」 「薬…あの、あやしい新薬とか言うヤツのことか?」 「あれ…本当だったっショ……オレ……薬のせいで女になって……」 これが録画だったら、こういう最高潮に盛り上がったところでCMなんだろうけど、今は生放送。 思わず釘付けに、目が画面から離すことができない。 「本当か!?」 テロップで『ウソといわれた時の為に、おっぱいを特殊メイクした巻島さんだが…』 「巻ちゃん…責任はとる……」 「ショ!?え??」 「今すぐオレのマンションの名義と預金を巻ちゃん名義に変えよう ああ、すまないこの時間の手続きだと会計士に報酬を余分に払わねばならんが、それぐらいの金額は許してくれないか」 「え。いやちょっと待て東堂、お前、ウソだろとか疑えっショ!!」 「巻ちゃんが、オレにそんなウソを言うはずないだろう?」 さらりと言われ、巻島さんの下がり眉がますます下がり、なんだか泣きそうにすら見える。 「えっとえっと……おっぱいとか、見たくねえっショ!?」 『混乱のあまり、言動が無茶苦茶になった巻島さん』と文字が出たけれど、これは仕方ない。 騙そうとした相手に、無条件で信頼を返されれば、良心の痛みは半端ないだろうから。 その一方東堂さんは、どうやら顧問会計士やら弁護士に連絡を取ろうとしているらしく、スマフォを取り出したので、巻島さんが慌てて止めた。 「ち、違うっショ東堂、オレは別に金をよこせとか…」 東堂さん、どうやら本当に全財産を差し出しそうで、すごい。 あれ?画面がスタジオに戻った。 視界者のお笑い芸人の人がにたりと笑って、衝撃の一言。 「えー実はこのどっきり、二重の仕掛けで『巻島さんが女性になったと騙されたフリをしている東堂さんが、全力でお詫びをして巻島さんを困らせる』というオチです!」 ゲストの皮肉屋で有名なコメンテイターが 「なんだ東堂君の行動、男らしいと思ったけど仕込みか」なんて笑い混じりに言って、ちょっとしらけた空気が漂う。 「にしたって、東堂さんの行動普段から、こういう事しそうなんて思われてないとどっきり成立しないですよね」 と司会者がフォローに入り、アシスタントの女性も「そうですよねー イケメンでこれだけの判断を即座に行いそうって思われてるってすごいと思いますぅ」と続けた。 また画面は切り替わって、巻島さん達サイドだ。 どうやらお金がらみは収拾がついたようで、東堂さんはノリノリで 「ならば…オレはどう巻ちゃんに償えばいいのだ…」とうな垂れている。 「そうだ!ならばオレは全てを捨て、そんな魅力的な女神になってしまった巻ちゃんをストーカーから守るため、陰からいつも見守ることにしよう!」 「つつつつ、謹んでお断り申し上げますっショ!!」 「何を言うか巻ちゃんっ ただでさえ麗しの大理石の彫像のようだったお前が、さらに女性になってしまったのだぞ!?いつ何時…どんな目にあってしまうかと…」 東堂さんの脳裏で、どんな目にあっているんだろうかと想像しているらしい巻島さん。 テロップがなくても、複雑だろうなというのはその表情でわかる。 「お前…女神とか彫像とか…よく舌が廻るっショ……」 「事実を言っているだけだ、巻ちゃん オレは今から事務所に行って全仕事をキャンセルしてこよう そしてお前をそっと見守って…」 「いやだから、お断りって言ったっショ!大体お前がそんな行動したら、恋人でもねえのに何でだよってお前のファンから超クレームくるっショ!!」 「恋人…ではないのが問題なのか……」 「いやそれは言葉のアヤってヤツっショ…仮に恋人だって、あってもいないストーカー被害で仕事までやめて付き纏われたら困るだろ」 巻島さんがそう言えば、ここでポツリと、司会者の人の音声が入り、 「いやストーカーはお前だと突っ込みたくなるやり取りですね」と一言。 「わかった!だったら結婚しよう巻ちゃん!!!」 「なんでそうなるッショォォォ!?」 どこに隠し持っていた!?というスピードで東堂さんが取り出したのは、同性パートナーシップ届けだった。 これは同性婚の人の結婚届けともいうべきもので、まだ一部の区域でしか利用はされていないけれど、東堂さんの居住区では認められているらしい。 「巻ちゃんが女性になったのならば、普通の婚姻届かもしれんが……まだ巻ちゃんの戸籍は男のままだからな、さあオレの名前は記入済みだ…巻ちゃんここにサインを」 ずずっと迫るイケメン、怖い。 一歩二歩と後ずさる巻島さんは、周囲をキョロキョロ見回している。 まだ自分がドッキリの仕掛け人側だと思っているから、ここで断ってはいけないと思ったのだろうか、そっと特徴のある細い文字で自分の名前を綴った。 「えー、ネタバレをしますと この後同性婚届けを出しに行く市役所寸前で、ドッキリ看板隊が現れます」 そういってアシスタントの女性が、一端CMに入りますと告げて場面はまた変わる。 5分ニュースとCMが入ったので、15分は経っただろうか。 タクシーで移動したという巻島さんと東堂さんは、某区役所前とテロップの出た建物の前にいた。 そして何故か、暴露シーンになってから出てくるはずのドッキリ隊の二人が、同じ画面に挙動不審に立っている。 巻島さんも、ドッキリ隊を知っているはずだけど立場上はまだ騙す側のつもりなので、同じく……いやそれ以上に挙動不審だ。 「巻ちゃん…この区役所は結婚届に関しては24時間受付をしてくれるんだ」 「へ、へェそうなんショ!?」 「そしてここに成人した立会人が二人」 「え…お、俺らの事っすか 印鑑とか持ってませんけど… ホショウニンとかやっても大丈夫なんですか」とは、看板を不自然に背中に持っている二人だ。 予想しない流れに、こちらも大いに戸惑っているに違いない。 「ああそうだ、『口頭で届出をするには、届出人は市役所又は町村役場に出頭し、届書に記載すべき事項を陳述しなければならない』という規定があってな つまり、その場でいるものが口頭で認めますといえば大丈夫だ …番組を盛り上げるためだ、協力してくれるな」 と小声で断言する東堂さん。 婚姻届の証人って、口頭でもいいんだ…知らなかった。 振り返った東堂さんは、カメラを招くようにもっと近寄れと身振りした。 別のカメラから撮影している画面には『混乱しているカメラマンA』の文字。 ドッキリ隊も当然、本来出番でない箇所で呼び出され、どうしていいのかわからないらしくまごつき、なんと司会者すらも困っているのが、画面越しに解る。 そうこうしているうちに、受付に行った東堂さんは、立会人に証人をさせ、届けを出してしまった。 「え?」 多分こう呟いたのは、私だけじゃなかったはず。 普通どっきりだったら、出す直前にネタばらしする…よね? 今提出しちゃったよ?巻島さんも固まってるよ?? 多分もう、5秒たつ ……ああ、これが放送事故……… 「ええぇぇぇえっ!?」 「えっ…ちょっ…東堂さん!!!ほんまに届けだしてもた!!!」 「あ、あの…区役所の方までドッキリなんて……」 「待って待って待って東堂さん!!!今更待っても遅いけど待って東堂さん!!!」 「「オレら、看板まだ出してないんですけど!??」」 巻島さんの手をとって、東堂さんがそっとその細い指にリングを嵌めた。 ……その指輪も、どっから出してきたのいつ用意したの…… 最高の笑顔の東堂さんが、巻島さんをエスコートするように肩を抱き 「オレ達、結婚しました!」 「……まま、待つっショ東堂!?オレ、女になったって嘘っショ!!ドッキリっショ!!」 「知ってる」 呆然と肩を抱かれた巻島さんの手をとって、東堂さんがカメラにおそろいの指輪を嵌めた指を差し出した。 この生放送は、今年一番の最高視聴率をたたき出し、ツイートには#ゲスの極みイケメンという、騒動を知らない人には謎のハッシュワードがしばらくはびこっていた。 私の録画したDVDは、見損ねたクラス中の女子から懇願されて、今日で上映会は三回目になっている。 |