【東巻】独占おっぱい2


あれ以来、東堂は巻島の胸を触るのにもう、許可を取らなくなった。
なにか疲れたことがあると、無言で部屋に入ってきては、巻島の様子も都合も伺うことなく、
躊躇せずに巻島の胸を肌蹴させる。

外気に触れた胸の先端が、気温差できゅっと勃つと、東堂は少し口端を上げて、ようやく気配を和らげる。
そして、思うままに吸って、摘み、唇で挟んでは先端をくすぐる。
男の乳首なんて、無用の存在でしかないはずなのに、巻島のそこは東堂のせいで、すでに快楽を得る
道具に作り変えられてしまっていた。

だがそれを、悟られる訳には行かない。
年下の幼馴染が、少し歪んだ懐き方をしてしまったのは自分のせいで、その幼馴染に情欲を感じてしまう
など、許されることではないからだ。

だが、東堂は。
巻島が声を耐えて、声を押し殺そうとすればするほど、ムキになったみたいに、執拗に巻島の乳首を
攻め立ててくるようになっていた。
舌先を尖らせ、中央のわずかなくぼみにねじ込むようにしたかと思えば、唾液でぬめり光るそこに口接け、
指先で捏ね上げる。
粘膜に包まれた乳首は、表皮の感触だけでもいたたまれない疼きを誘うのに、最近は内側からも
くすぐられるような、奇妙な熱を呼ぶようになっていた。

「……あっ…や…っ」
反射的に逃げをうとうとした巻島が、ようやく声を洩らせば東堂は少し目を細めた。
「巻ちゃん、かわいい」

出ないとわかっているはずの乳を、執拗に求めるように東堂が、また強く巻島の胸を吸った。
びくりと背筋がしなり、にげることもできない自分に、うっすら涙が浮かぶ。
――もう、嫌だ
年上のプライドもあって、平気なふりをしてきたけれど、このままで東堂に思わず縋ってすらしまいそうだ。
「…んっ……やっ……やだ、尽八…… おっぱい触っていいとは言ったけど…… それ…ちがっ……」
「…違うのは当たり前だろ 女の子の胸を揉んでるんじゃないんだから」
きゅっともう一度巻島の胸を摘み、東堂はハァとこれみよがしに息をついた。

「こんな…キレイで可愛いものを見てしまっては、もう他では満足できんよ」
東堂の巻島のおっぱいへの執着は、あきらかにもう子供のそれではなかった。
自分の満足だけではなく、あきらかに巻島の快楽をも引き出そうとする手段として、東堂は巻島の胸の尖り
をひたすらに苛む。

「ふっ…あ、あっ」
嫌だ……違う、ダメだ。年下の同性に胸を舐められて感じるなんて、自分はおかしい。
じんわりと滲んだ涙は、もう粒となって巻島の頬を伝った。
羽毛で内側から撫でられているような、やわらかな拷問のようで、巻島はただ、首を振る。

「…ねえ巻ちゃん……巻ちゃんは気持ちイイこと、好きだろ?」
霞みがかった視界に映る東堂は、眉を顰め、それでも笑いを作るという複雑な顔をしていた。
「な…なに、尽八……あっ……だめっ……!」
「なんでそんな嘘つくの? ――こんな、気持ち良さそうなのに」
でもそんなところもかわいい、可愛いよ 巻ちゃんと、東堂は巻島の耳朶近く、囁いた。
怯えたように身震いする巻島が、小刻みに身を揺らすたび、東堂はしつこく、しこりが増した乳首を吸い上げる。
巻島の赤く濡れた舌が、ちらりと見え、東堂は喉を鳴らした。

「…もっと、もっと…オレが気持ちよくしてあげるから……」
睨むかのように、東堂は険しい目つきをしていた。

「ねえ巻ちゃん、オレを…好きになってよ」

白く霞みがかった頭で、巻島はもうとっくに好きだと考えていた。
でなくば、誰が。
幼馴染とはいえ、胸を吸わせたりいじさせたりなどするものか。

それでもコイツがオレに捕まってしまう前に、早く、英国へ行こう。
そんな巻島の決意は、東堂の執着をなおも誘うものだと、当人はいまだ知らずにいる。