オマケ

 聞いてくれたら、俺だったら幾らでも答えるのに。
流れるサラサラの黒髪も、少し無理しすぎる性格も、無精者なんだかマメ
なんだか読めないアンタらしい心配りも、滅多に見せてくれない楽しそう
な笑顔も、悪い奴らへの怜悧な射抜くような視線も、これを言ったら怒ら
れれるだろうけどそこらの女の子よりプニプニで、突っつきたくなる頬も
全部好き。
 一番好きなのは、自分の身を盾にしても己の信念を貫こうとする真っ直ぐ
なところ。…部下としてはその特攻精神何とかしてくれと祈ったりもするの
だけれど、それでも何者をにも臆さず立ち向かおうとする瞬間の大佐は、
キツい顔をしているのにどこか儚げで、それでいて凛としていて、思わず
見惚れてしまうぐらいとても綺麗だ。

 ヨダレたらしてる昼寝の顔も、サボってやろうと企んでる表情も全部大好き
で、一度言ったら止まれないぐらい色々上げられる。
…なのに、この人は。
俺が好きだといっても「そうか」の一言で、ならば俺のどこが好きかと訊ね
ても「全部が好きだよ」と涼しい顔で。

 ふーん、そうですか それでごまかそうって顔してますね。
だったらついでだから言っちゃいますけど、俺はアンタが耳朶を甘噛みされ
た時に思わず出す甘い声とか、こうやっていきなりキスを仕掛けると少し
困った顔になって弱々しい抵抗するフリしようとするトコだとかも、流されそう
になって甘い吐息をついちゃうところも好きなんです。
俺のこういう所も含めて全部好きなんスよね? まだまだいっぱい上げられ
ますよ。

「…何で 耳ふさぐんスか?」
「うるさいっ! 私はそんな事聞いていないっ」
「ああそうやって、俺に力じゃ敵わないのに頑なに耳を塞ごうと顔を真っ赤
にしてるところも可愛くて大好きです」
「うるさいっ うーるーさーいー!黙れ!!」
「大佐が俺の好きな所言ってくれない分、俺が大佐の好きな所いっぱい
いっぱい言わせて貰います ねえ聞いてくださいよ」
「言わんでいいっ!…言うなっ!」

 誰にも見せないであろう大佐のこんな顔、俺だけに見せてくれる今が
最高に幸せで、堪らない。
プライド高い飼主に、じゃれつくフリしたあんたの狗のささやかな報復。
スキって言ってくれないのなら、構って欲しい顔をしながらゆっくり言わせて
みせるから。
そう告げる代わりに、頬を染めたまま目を必死で背ける大佐の首筋にそっ
と舌を這わせたら、「調子に乗るな」と拳骨が頭上に落とされたけど、
そんな行為までかわいくて嬉しくて仕方がない俺は、色んな意味で終わって
いるのかもしれないとこっそり吹きだしてしまった。