『写 真』

こちらの絵から想い、重ねて様より小説GET!

「よく撮れたよな」

 ハボックはそう呟いて出来上がった写真を指に挟んで眺めていた。
 その写真は、仕事をサボった上司の昼寝の最中にネコ耳カチューシャと黒マニキュアを施して、
それを写した物だった。

 しっかし大佐‥‥似合ってるな。これが年上で上官なんて信じられねー

 そう思いながらハボックはソファに寝転んだ。

「おい、ハボ」
「なんだよブレ」
「いくら休憩室だからってだらけすぎだろ」
「いいじゃん、お前しかいねーんだし」
「まぁいいけど。俺は忠告したからな」

 そう言ってブレダは空いている革張りのソファに腰掛けて煙草を吸い始めた。
 ふぅーっと紫煙を吐き出したブレダが近くの灰皿に灰を落としながら器用に
ソファに寝っ転がっている同僚に話しかける。

「そういやお前、こないだのいたずら怒られたけど随分機嫌がいいじゃねぇか」
「んーおもしろかったから」

 返ってきたのはそんな答え。

「そういや何見てるんだ?」

 同僚が手にしているものを見てブレダは訊く。
 ハボックは、火のつけていない煙草を銜えたまま写真をひらひらさせるのみで何も言おうとしない。
顔はただ笑っているのみである。

「ハボ?」
「ブレーこれ。どう思う?」

 反動なしで腹筋の要領で起き上がり、ハボックは手に持っていた写真をブレダに見せた。

「あーハボック少尉ここに居たんですね」
「おういいとこ来た。フュリーもこれどう思う?」

 この会話の間中、写真を見たブレダは暫し固まっていた。

「何のしゃ‥‥」

 言葉は紡がれることなく、フュリーもまた言葉をなくしていたが、

「大佐によく怒られませんでしたねハボック少尉」
「ばっちり怒られたけど、これみてっとなんか和まねぇ?」
「反則だな、これがあの大佐とは思えねぇほど」
「だろ?」
「だけど、似合いますね大佐」
「だよなー」
「よくここまでいたずら許されましたね」
「そうなんだ。大佐、どこで起きるか気にしつつやってたにも関わらず寝てたんだぜ」
「よっぽどハボック少尉に気を許されているんですね」

 と、邪気のないフュリーの言葉にブレダは、ここに来たフュリーの目的を促す。

「フュリー、用があってハボを探してたんだろ?」
「あ。そうでした、大佐がお探しです」
「俺を?」

なんかドジやったかなと呟きつつ、ハボックは席を立ちながら胸ポケットに写真をしまったのであった。





 コンコン。ガチャ、
 返事を待たずに入室するハボック。

「ハボック少尉、いつも言っているだろう」
「以後、気をつけます」

 そう言って略礼をするハボックに、マスタングは軽く息を吐き出すと用事を切り出した。

「ヒューズの迎えに行ってくれ」
「ヒューズ中佐の?」
「そうだ」
「お咎めとかナシで?」
「なんのお咎めか?」
「いえ、なんでもないっす。行ってきます」

 軽く頭を下げたとき、入れ方が甘かった写真がするりと抜けてマスタングの執務机に落ちた。

「写真か」

 そう呟いて拾い上げようとしているマスタングにハボックは一目散に逃げの体勢に入って、
執務室の扉を閉めたのであった。
 閉められた執務室からは、拾った写真を見て全身を震わせているマスタングの姿と――――

「ハボーーック」

 盛大な怒鳴り声が響き渡ったのであった。
 もちろん言うまでも無く写真はその場で燃やされたのであったが、書類を届けに来た中尉の
一言でハボックは戻ってから
追い掛け回される破目になるのであった。
 これが恋愛にまで発達するのにはもう少し時間が掛かりそうであった。





オマケ

「大佐、理由はわかりました。ですが一言よろしいですか?」
「なんだね中尉」
「写真にネガがあることをお忘れのようです」
「あ‥」

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猫耳ロイ絵と引き換えに頂いてきちゃいましたv隠さずノロケるハボってば!ww自覚がないからこその見せびらかしですね!
自覚あったらこんな写真 他人が見たらロイが狙われる!!とぐるぐるしそうです
うっかりなロイも大好きです!
(そして最近はデジカメの印象が強いので、ネガという存在を忘れていた私もロイのこと笑えません)