暗い罠 オマケ


訓練所外れに設置されたそのトイレは、訓練のある時間帯でもない
限り人気はない。
軍部という規律正しさを売り物にしている場所柄、灰色の古びた壁に
囲まれたそこは、殺風景で無機質だが不衛生ではなかった。

 負傷者用に用意されている、一番広い個室に大佐を乱暴に押し込め
後ろ手で鍵を掛ける。
カチャリ、と小さな音が無言劇の合間に響いた。
傲慢で綺麗な顔が、俺を睨みつけている。感情に直接的なその表情が
俺を嬉しくさせる。この人がどうでもいい奴を相手にする時はいつ
だって薄いフィルタを通したように仮面を被り、こんな素の顔を見せ
ようとしないのだから。

 にっと本能のままの獰猛な笑いを浮かべ、戦闘時と同じの手馴れた
動作で大佐を壁に縫いとめれば、大佐は何かを言いたげに口を開閉
させて結局何も言わぬまま唇を噛み締めた。

「嫌がらせなんかじゃないって 証明してさしあげますよ 俺はいつも
大佐殿を可愛いと思ってましたから」
耳朶近く、一段低めた声で囁けば大佐の体はピクリと震えた。
「ふざけっ……!」
混乱しているのだろう、後の言葉は続かず本人も気づいていない怯えを
含めた表情で、俺を見据える。
 片手で両手首を頭上に固定し、もう一方で顎を捕らえ固定して無遠慮
に舌をもぐりこませ、その甘い唇を堪能する。
唾液がこぼれるまで貪れば、に敏感な躰は大佐の意思に反して反応を
し始めた。

「やっ…やめ……」
長く唇を塞いでいたせいで、息を吸うことに必死になってる大佐は
抵抗がかなり弱まっている。その隙に押さえつけていた手首を外し
白い首筋を隠す襟元に両手をかけ、力任せにシャツを引き裂いた。

 こんな状況になってるのに、アンタまだ俺が本気だって解ってなか
ったみたいだね。呆然としている大佐をどこかおかしく思いながら、
そのままベルトを外して下着ごとズボンを引き下げた。
 白いシャツが肌蹴け、オーバースカートの下で覗いてる生足の色気
は、理性なんて簡単に粉砕させてくれる。

 どこか幼い表情で見上げる顔が、欲望を煽りもう目の前の白く滑ら
かな肌を婪る以外、何も考えられなくなった。
外気に晒され、ぷくりと立った乳首に舌を這わせればそこはぬめりを
帯びたまま硬度を徐々に増し、顕著に色味を増した。

「やっ…ぁっ…! やっハボック少尉っ!」
目を閉じ首を振って逃れようとする無駄な抵抗は、征服欲に火をつけ
るばかりだ。
鍛錬で硬くなった皮膚を持つ指が、平らな胸を揉み先端を挟み摘んで
転がせば、大佐は喉奥でくぐもった甘い声を鳴らした。むず痒いような
熱を与える胸先へと執拗に刺激を繰り返せば、大佐の目にうっすらと
涙が滲んだ。
 引き剥がそうと身を捩れば、お仕置きだと乳首に歯を立て、おとなしく
していればピチャピチャと水音を立て吸って、舐めて摘まれる。
「…も…やめ……」
怒りだけでない、自分の中でどう処理をすればよいのか解らぬ表情で
与えらている感覚に困惑している大佐を支配する喜びが、俺を嬉しく
させる。

 拒否の言葉を繰り返し、熱を持ち始めた大佐の昂ぶりに指を這わせ
鈴口をくすぐり、性器へやわやわと愛撫を重ねる。
「…あっ…やっ!…やだ…やっ…」
「嫌なんて嘘ばっかり きちんと自分の目で見てくださいよアンタの
ココちゃんと反応してますよ」
 
 大佐自身を扱く手をとめ、そのままでも充分に確認できているのを
承知の上で、ゆっくりとスカート布地を腰後ろと壁の間に挟ませ
日焼けしない滑らかな肌を持つ下半身を露出させた。
 オーバースカートに生足という猥らな姿は倒錯的で、大佐は必死で
目をそむけている。

「ほらちゃんと見て 先っぽからエロい汁だってこんな滲んでもっと
触ってって勃ってるし 俺の手をぬるぬるにしてますよ大佐」
嫌々と首を振ることしかできない大佐の震えるソコを、何度か摩って
やれば くぅ と小さな小動物みたいな声を出して、大佐の体は小さく跳ね
痙攣し、俺の手に熱を放った。

「あーあ 俺が好きだって言葉全然信じてくれないくせに随分簡単に
イッちゃって …大佐 男でも女でも相手してくれりゃいいんだ?
やらしいなあ」
 信じられぬものでもあるかのように、呆然と眺めるその眼は普段の俺の
姿を探している。何を言われても茫洋と、仕方ねえなあと受け流す部下
の俺を。

「ちっ…ちがっ……」
「違う? 俺の手をこんなにしといて」
 これみよがしに、白濁した汁で汚れた手で頬を撫でてやれば、大佐
は屈辱で紅くなり、唇を噛み締めた。
「ま、いいスけどね 俺のほうも気持ちよくさせて貰いますよ」
 塗らされた指を腰から下へと回し、後ろ孔に差し込む。
「ひっ……ヤッ……」
 きゅうと窄まったそこは、生理的な反応なのだろうけど俺を取りこ
んで離すまいとするかのように、肉の熱さを指先に伝える。
白くて小さい尻を揉んで、強引に内壁で指を動かすと未知の経験に
堪えきれなくなった大佐はボロボロ涙をこぼし始めた。
「やだっ…ハボッ…抜いて…やっ…」

 第二関節までねじ込んだ指を回転させれば、大佐は大きく息を飲ん
で躰を強張らせた。
震える腕で俺を押しのけようとしていた手は、今ではすがるように俺の
胸元を掴んでいた。
「痛っ…いたい…も…やぁっ…」
「…そうそう、そうやって可愛くしてて 俺がイイ気持ちにさせてあげるから
まだきゅうきゅうで狭いっスね もう何回か達っておきましょうか
 …とろとろにアンタが溶けるまでイカせて上げますよ…」
「ひっ…やっ…やだ…ハボ…」

 拒否の言葉を否定させ、何度も懇願を繰り返させ大佐が快楽で何も
わからなくなるぐらい、熱を吐き出させてからゆっくりと腰を抱えた。
羞恥と快楽で もう声もでなくなった大佐は、従順に俺の支配のまま
ぐったり凭れ掛かり、引き寄せられるまま抵抗もない。

「もう…限界みたいっスね 俺もそろそろ…なんで…」
 息も絶えだえの大佐に、昂る楔を押し付け打ち込む。最奥を抉るように
腰を寄せ、一気に挿入し動けば淫猥な水音が響き亙った。
「あひっ…あっ…熱いっ…やっ……!」
 衝撃で反った背に、優しく手を添わせると他に縋るものがない大佐
は懸命に俺へとしがみついた。
「やっ…やっ…無理……くぅ…ふぁっハボ…あっ!ん…やっ…もう…」
「…ホント、かわいいスね… その顔サイコー…」
 泣きじゃくり、意味の成さない猥らな大佐の嬌声は俺を高みへと導き
その蕾が絡みつくように蠢くのを全身で感じたと同時、俺は達し熱い奔流
を大佐へと注ぎ込んでいた。

 失神した躰を抱き寄せ、頬を伝う涙を舌で拭う。
「…もう逃してあげませんよ アンタが自分から飛び込んできたんスから」
 昏い俺の囁きが届いたのか、大佐はピクリと震え 一筋新たな涙をその
なめらかな頬に零し、なおも俺を煽った。