ふと顔を上げると、私と同じく書類仕事に 飽きてきたらしいハボックと目があった。 最近、こういったことが多い。 根を詰めた連続署名の後、リフレッシュに 窓辺から外を見下ろせば、訓練休憩中だった ハボックが、おそらく雲を眺めていて、視界に 私が目に入ったのだろう。 少し驚いた顔をして、すぐに笑って手を振った。 食堂で、目の端にでかい図体と金髪が映る。 スプーンにすくったシチューを流し込み、なんとなく 目線をそちらに向けると、一服するかとばかりにタバコを 取り出していたハボックと、また視線が合った。 筋肉がしっかりついてるのに、マッスルな兄貴にならずに 見栄えの良い、実戦的な体躯は正直少しばかり うらやましくも無くもない、とハボックを見つめていたら、 こちらの視線に気がついたのか、ハボックが顔を上げた。 「…さっき仕事サボってたでしょ、大佐」 |
なんとなく、顔をあげて伸びをしていたら大佐と偶然 目があった。 最近、それが多いような気がする。 体力づくりの腹筋が終わって、まだ他の奴らは終了していないし かといって席を外すほどの時間はないしと、あそこが大佐執務室 かなと眺めていたら、影が映った。 大佐が、仕事をサボって外を見ているらしいと手を振ってみた。 手を振り替えそうとした直後、即座に姿が消えたのは、中尉が 部屋にでも来たのだろう。 あ、あの丸い黒頭は大佐だ。うつむいていて顔は見えないけれど …なんというか、大佐の輪郭とか上から見ると丸い頭ってのは 子供みたいで、なんとなく微笑ましくなってしまう。 タバコを取り出す手を止めて、そちらを見ていたら視線を感じたらしい大佐が顔を上げて、目が合った。 「…さっき仕事サボってたでしょ、大佐」 眠そうな顔をしている大佐への、軽い目覚ましのつもりで 腰をはたいてみたら、バランスを崩してしまったらしい大佐が 崩れかかり、慌てて抱きとめる。 …おかしいな、なんで鼓動が高まるんだ。 |