オマケのオマケ



あ の ブレダが痩せたという事実は誰もが気付いたニュース
だった。
実はさりげない気配りを得意とする人物だが、表面上は動揺を
見せぬふてぶてしさを周囲に買われており、またそこを頼りにと
されている人物で、それは見た目も一端を担っていたのだから
当然といえば当然だろう。

そしてその事実に、幸せバカップル状態である二人もそれなりに
気遣い、心配りをみせていた。
「ブレダ…何か悩みがあるなら言ってみると良い …原因は解って
いるのか?」
「そうだぞ お前が痩せるなんて…そうとうな理由だろ」

アンタだ。そしてお前だ。
ハボックとは違う位置で自分を買ってくれている上司は悪くないし、
学生時代からの友人は基本まっすぐでイイ奴だ。

「いや…相手は悪意がないからな…」
「人間関係か… お前ならそこらもうまくこなせそうだが」
考え込むようアゴに指を当てたロイに、ハボックは同意とばかり
深々と頷く。
「善意とか悪気なくトラブル振りまく奴って たまにいますから
ねえ」

…お前が言うな。昔からそう思うことがなくもなかったが、特に
大佐と組んでのハボックは、本人気づかぬトラブルメイカーだ。
人間兵器の一端を担える機動力と敏捷性で戦場を駆け回り、軍人
としての株を急上昇させているが、そのせいで敵とそれ以上に
やっかいな味方も増えている。

マスタング大佐の犬だとの悪口だの、その筋の本物に「男」として
惚れられるだの…。
惚れられるだけならいざしらず、どうも奴らにはマニアな性癖な者
もいて、俺まで惚れられるだの…そのたびに振り回された記憶は
酒や食事で報われてはいるが、本人はぎりぎりまで気付かないの
だからやっかいだ。

「そうか…ブレダは案外人がいいからな あまり振り回されても
損だぞ」
……だから、アンタが言うな。
書類目前逃亡だとか社交辞令と称した異性関係トラブルだとか、
ハボックと違いその気がない筈の同性に、何故かムラっとこられ
襲われかかったとか…アンタは自覚あるだろう。
こちらの苦労は主にハボックが対処をしていたが、その裏では俺が
愚痴られていたんだからな。

「そうだ!ブレダ 夕飯一緒に食って元気出そうぜねえ大佐」
「そうだな…ハボックの料理は美味いぞ 我が家での夕食になるが
遠慮せず来るといい」

当たり前のように流されているが「大佐の家でハボックが夕飯を
作る」…が前提なんだな。
聞けば、大佐が食費一切を出す代わりにハボックが毎日の食事
を作っているらしい……同棲も間近だな、こりゃ。

「な、大佐の家広くて居心地いいし高いワイン開けてくれるって
いうし遠慮せず来いよ!」

…お前が家の主のように誘うな

「そうだぞハボックの料理は本当に美味いし上手なんだ!」

…自分のことのように自慢せんで下さい 一応知ってるし

二人の好意を汲んだ俺は、心配してくれる気持ちは本物なんだと
自分に言い聞かせ……新婚バカップルの新居の夕食に踏み込んだ
ような気まずさを感じる夕飯を、取る羽目になってしまった。

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某お方がブレダにも幸せを…とお言葉下さったのでハボとロイに心配されまくるブレさん…
を目標に書いたのですが…あれ?やっぱり報われてない…(笑)
でもハボロイの二人もブレダは普通に好きだと思うのですよ