オマケ


「なあハボック…今日の昼食なんだが」
「今日は市内巡回でしょう?デリでランチボックスでも買って
中庭ででもどうっスか?」
「…そうだな 天気もいいし…木陰は気持ち良さそうだ」
「二人で日向ぼっこしながら…っていいっスよね」

上司部下の会話だと思えば微笑ましいが、その二人が恋人同士だ
と知っていると、…どうにもウザい。
桃色オーラが湧き出てるんじゃないかと思うほど、にこにこ幸せ
そうなハボックとロイに対し、周囲の温度は氷点下だ。
「…ブレダ少尉」
「はいっ!」
常にクールな女性上司は、見掛けは普段と変わらぬが自分たちと
同様に感じていたようで、よく知っている者ではない限り気付かぬ
程度に眉根が寄せられていた。
「今日の巡察 ハボック少尉じゃなくて私が同行するわ」
「…はぁ……それを…俺が告げろと」
「あの無意識な恋人ムードを慎んでくれない限り 今後もだとも
付随して頂戴 よろしくね」

なぜブレダが理不尽な役を押し付けられているかというと、先日
の「ハボックとロイは恋人同士になった」爆弾発言による。
まったく気付いてなかった男性陣とは異なり、どうやら一人察し
ていたらしいホークアイは、聞き取れないような小さな舌打ちを
していた。
…どうも、「宣言されなかったら気付いてないフリをしていられ
たのに」という理由らしい。

賢明な彼女は、正しかった。
仕事をサボらなくなったロイではあるが、良い点といえばそれ位
で、心臓に悪い経験をする回数が、俄然増えたのだ。
司令室に書類を持っていけば慌てて離れるシルエットが見えただ
とか、仮眠室で眠ってるロイの傍らで、ハボックが手を繋いで
何するでなく幸せそうに座っていただとか……。
俺らならともかく、他の奴らに見られたら色々ヤバいだろう!と
心の底から叫びたくなる事態が連続だ。

それを当人らに注意をすれば、上司はそんなつもりはなかったと
ばかりに驚いた顔を見せ、直後に自覚が出たのか頬を染めて俯い
た。
…その顔は、一般的判断からすれば可愛いといえなくもないの
だろうが、……親友よ、俺を睨むな。

では仕方ないと親友の方に注意をすれば、「えぇぇ?俺そんなに
幸せそうか?そっかなー自覚ねぇんだけどなあ…そうかーそんな
に幸せそうな恋人同士に見れるのかー」
底抜けの笑顔とは、こんな表情を指すのだろう。
――処置なしだ。

ホークアイ中尉、あなたはやはり素晴らしい判断をしてました。
まだ秘めた恋人同士だと思ってる二人なら、もう少し慎んだ行動
をしてくれていたでしょう。
警告を重ねても、あいつら二人とも無意識だから手の施しようが
ない。

巡察の運転兼護衛を変更するの一件を、告げに行くブレダの足取
は…ひたすらに重かった。

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Mつきさんに「本当は気付いていた中尉に 知らんぷりをしていられなくなった」と言われ
ブレダは今後苦労しそう」のお言葉頂き…確かにと激しく納得(笑)
たまにはとやり返すお話書いたけど やっぱり苦労するブレダになりましたww