ネコミミカチューシャロイを見たいといわれましたので描いてみました(笑)



「なあハボさんや」
「なに?ブレさん」
ペンを走らせる書類から顔を上げることなく、代理で作成した分に目を
通しておけと、ファイルを渡されたハボックが、受け取りつつ返事をした。

「普通 眠ってる男にするイタズラって額に肉マークとか目蓋に目玉書く
とか鼻下にチョビ髭書くとか ほっぺたに渦巻き書くとかじゃね?」
「……………だよなぁ………」
学生時代の友人たちとのやり取りや、士官学校でのレクリエーションと
言う名のふざけあいで思い当たるハボックはしばしの沈黙の後同意した。

「なんでネコミミにリボンに口紅なんだよ」
「いや…幾らなんでも額に肉を書いてお偉いさんに遭遇したらシャレに
なんねえじゃん」
「…猫耳はなるのかよ」
「親睦会の余興の練習だとかでも言えば、納得させられそうじゃね?」
「まあ…似合ってなくもなかったしな」

今日も木陰でスヤスヤ眠るロイを見下ろし、ハボックは脇に屈みこんだ。
「似合ってる…って思ってたの俺だけじゃなかったんだ」
先日黒猫耳カチューシャはロイの手で燃やされたが、実はもう一つセット
で灰色の物も購入していたハボックは、そちらをロイに装着した。

「大佐ーこんなところにキャラメルの包み紙散らかさないで下さい」
軽く肩を揺すっても、ロイは目を覚まさない。
少し開いた唇の隙間から「ん…」と可愛い吐息混じりの声が洩れ、ハボック
の心拍数を上げた。

「大佐ー…起きないと……しますって俺言いましたよね?」
誰にともなく、いい訳めいた発言をしているなと思いつつハボックの顔は
ロイの眠り顔に近寄っていく。
「…チュー、しま…す…よ?」
「んー…」

しっかり閉じられていた目蓋が少し震えた後、ロイは何度か瞬きを繰り
返し目を覚ました。
「んーーーーーっ!んっ!!」
ハボックの背中部分を掴み、引き剥がそうとしてもしっかり重ねられた
唇は密着して互いの熱を舌に伝える。

甘く柔らかい唇を息が切れる寸前までハボックはむさぼり、ロイがくたりと
脱力するまでその口接けは続けられた。

「んっ…はぁ…ふ…っ…ハァ」
「あのっ…えっと……だ、大丈夫ですか大佐…?」
抵抗していたロイの腕から力が抜け、その重みでやっと自分を取り戻した
ハボックが、慌ててロイを覗き込む。
まだ熱い口腔には、ロイが食べていたキャラメルの甘い残り香。

ようやく解放されたロイが、ハボックの頬を反射的に掌で叩いてもハボック
の心配げな表情は変らなかった。
浅い呼吸を繰り返すロイが、涙目でハボックを睨む。
「誰のせいで!こ、こんな力が入らなくなってると思ってる!?」
「えーっと……俺…のせい…?」
「疑問系で逃げるな!間違いなく貴様のせいだろうがっ!!」
「えーっとつまりは俺のテクで大佐めろめろ?」

冗談めかしたハボックの言葉に、憤慨しきったロイの拳が無言で飛んだ。

「大佐ー機嫌直してくださいよー」
「うるさいっ このバカ犬!よ、よりにもよってあんな場所で何を考えて!」
「…問題は場所なんスね?」
「……!うるさいっうるさーーーーーいっ」
東方司令部名物、マスタン組による本日の追いかけっこはいつもに増して
注目を浴びているのだが、当人たちは気付いていない。

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Rさまに 額に肉と書くハボックでなくてよかったとのお言葉を頂いたのですが…
個人的にはそっちのハボの方が好みだった…!(笑)からオマケ追加です