ラヴァーズパジャマ



…どっかでアップしてると思う、ロイとハボが賭けをやって負けたロイが
恋人パジャマ(上が彼女で下が彼氏と分けて着るパジャマ)をする羽目に
なったという話の続き
ニ万センズの続きでした!
ハボサイドということで書いてUPを忘れてたのですね<まあやりがち



 いかにも渋々といった顔だったけど、大佐が俺のお願い通りに
パジャマの上着を受け取って、両肩の辺りを摘んで持って睨み
つけている。
大佐は普段自分がクールなつもりらしいけど、こういう素の表情
は年下の俺が思わず微笑んでしまいたくなるぐらい、ストレート
で可愛い。パジャマを手にしたまま、まだ逡巡してるのは今度は
どこで着替えようかを迷っているんだろう。

 だらしないところも多分に有るくせに、変な所で潔癖で居間で
の着替えを迷ってるのがおかしくて、ついからかいたくなって
しまった俺が、笑いながら大佐に一度差し出した上着を手を伸ば
して再度掴んだ。
「…ハボック?」
「着替えさせて差し上げます」
「差し上げいらんっ!…自分で着替えるから離せ」
「甘えてくれるって言ったのにぃー」
 わざと唇の片端を上げて、ニヤリと笑えば頬を少し紅く染めた
大佐がもごもごと反論の言葉を探していた。

初手からあまり絡みすぎても、せっかくの甘えイチャイチャデー
を台無しにしちゃうので、ここは引いておこう。
「じゃ 俺も着替えますから」
「…わかった」

 大佐が俺にって用意してくれていたパジャマは、少し真珠がか
った綺麗な薄いブルーで色は俺好みだったし手触りも抜群だった
けれど、…寝起きそのままで兼室内着として併用するには、俺に
とっては高級品過ぎた。

 だから今迄保存しておいてもらったのだけど…そうしておいて
もらって良かった!着ないのならば持って帰れと言われていたの
だけれど、俺ん家じゃもっと使い道ないからと置いておいた俺
大正解!! 見ろ 生脚大佐の少し困って視線を逸らす顔!!!
普段厚い生地の軍服を着てるのと、丸い輪郭のせいで大佐の体は
丸…っていうと怒られるなえーっと…ふくよか…ならいいのかな
…に見られがちだけれど、実際はそんなことは無い。

現在少し大きいサイズのせいで、襟ぐりからのぞく首元はしっか
りと鎖骨の窪みが確認できて色気が有るし、スラリと伸びた両脚
は日に焼けていないせいもあって、とても野郎の足だなんて思え
ないほど艶かしい。…大佐がミニスカート好きなら自分で穿いて
みたらどうだろうと、提案してみたら殴られた…何故だ。

「まあ冗談はさておき …オプション払ったらミニスカート着用
OKですかね…?」
「冗談になっていない顔で冗談にならない話題を続けるな」
「駄目か まあその格好だけでも俺にとっては充分ス」
 
 言いながら、ソファの上に腰を落として大佐を無言で手招きで
呼び寄せる。
無言でおずおずと、歩けば色んな箇所が見えるんじゃないだろう
かと気にしつつ歩く姿は…何と言うか、かなりクル。
いっそ俺の冗談に乗って、ミニスカートを穿いちゃえば笑える
ギャグになったのに、中途半端に逆らえずにいる姿が男心をそそ
ってるなんて、絶対この人気づいてない。

「…どうやって座ればいいんだ」
 脚を少しでも隠そうと、裾を握って下に引っ張ったままの大佐
が横を向いてそう呟いた。
「…どう…とは?」

「甘える座り方というのが解らない」
 …俺も特に意識したことはないけれど、普通に隣りに座るで…
と言いかけてならばと便乗、イタズラ心。
「俺の膝上に向かい合って座って 手は首に回してください」
幾らなんでもそれは甘えるを通り越してると拒否されるかと思え
ば、大佐は決死の顔で言葉どおりに膝上に座り見られぬように
とでも言うのか、ぎゅっと抱きつき顔を俺の肩口に埋めている。
そのガチガチに固まってる大佐の一生懸命さが、おかしくて可愛
くて俺は無言で大佐の背中を抱いて、宥めるように軽く叩いて、
撫でる。

「…温かい」
ポツリと呟いた大佐の言葉は、少し照れが入っていて…何故か
ちょっと哀しく響いたのは撫でられるという行為に、馴染みがなか
ったからだろう。

 甘えるのが苦手で下手クソな人。甘え方がわからないなんて、
こんな事を努力しなきゃいけないなんての言葉や行動は、少し
切なくなるけれど、それが俺にだけこうやってくれているという
行動に繋がるのなら…ごめんね、少し嬉しいかも。
 そんなことを考えながら、大佐の体の力が抜けるまで俺は何度
もゆっくりあやすように、その無駄な肉な滑らかな背中を無言で
ずっと撫で続けた。