「この前の二人の表情、絶妙だったから
デジカメでに加工してみたんだ 見てみてよ」

 感謝祭の後、店長である鏡がにこやかに差し出してきた
カードは、銀次と蛮の二人がアップで印刷された
写真を、トレーディングカード風に仕上げた代物であった。

「わ、何か俺たちカッコいいね!
にこやかな銀次と対象に、
「…これも売りモンにするのか?」
受け取って品定めをした後、店長の意図がつかめない
蛮はヒラヒラと振りながら訝しげな表情で、鏡へと尋ねる。

「いや、ラミネート加工のカードは
ちょっと高級感もコンセプトなウチの雰囲気じゃないからね。
お遊び企画…と言うことで希望者10名に
プレゼント方式にしようかと思って」
「プレゼント… 抽選か?」
「いいや 来週1週間通ってくれたお客様で
『僕がおもしろいと思った人』…にするつもり」

 傍らで、聞くとも無く会話を流していた
周囲のホスト達の心に浮かんだ言葉は一つ。

『…悪魔…』

 販売でない代物は、それ自体がプレミアモノだ。
まして、その基準が店長の心のみで決まるというなら
蛮と銀次の指名客は、死に物狂いで店へと
通いつめ、とりあえず色んな方法で金を落としていくだろう。

ちなみに、
「なかなか面白い企画を考えるものだ」
と素直に感心している十兵衛と、
「じゃぁ お客さんにいっぱい知らせなきゃ!」
と純粋にワクワクしている銀次の二人のみは、
周囲の思惑にまったく気がついていなかった。

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 前回のふーかさんの『1分間のイリュージョニスト』が
大変にツボで、どうしてもそれをネタに書きたくて
進めてしまいました〜v
 店長は趣味で経営しつつも、利益率が
すごそうな印象なので、遊びつつも金儲け方針で。

 プラチナドンペリを山と空けさせる店長の下でなら、
十兵衛もそろそろお金貯められる…かな?
ところで銀ちゃんの瞳、本当は茶色のはずなのに
ウッカリ緑で塗っておりました。ごめんなさい。