「…何だ これは」
「俊樹くんへの 誕生日プレゼント 気に入らない?」
「…気に入るとかいらないではなくっ!どうしてこんな写真
お前が持ってるんだ!!」

配達で訪れた先で、チャイムを鳴らすと同時に
開いた扉の少年が、差し出したのは一枚の写真。

世間一般では、女の子のお祭りとして賑わう3/3は
俊樹の誕生日だ。 だが特に誕生会とやらを行う年でもなし
いつもと変わらず配達にいそしんでいる。

お得意様である、間久部家への配達で出て来たのは
マクベスという仇名の少年だった(ちなみに俊樹は
彼の本名を今だ知らないし、その両親らしい人物に
出合った事もない)
頭が良すぎて、引きこもりがちらしいという周囲の噂はあるが、
彼の年以上に落ち着いたふるまいは、俊樹にとって
好ましいものであった。年は離れているが
数少ない友人の一人と言ってもいいだろう。

「俊樹くんが何欲しいかわかんなかったからさ、喜びそうなもの
リサーチしたんだけど」
「リサーチって…」
「あ、大丈夫 僕のちょっとした特技でパソコンを利用して
色んな事ができるからであって、俊樹くんの気持ちが
ダダ漏れって訳じゃないから」

笑っているが、行っている事はかなりな技だ。
「…この写真は まさか盗撮でもしたんじゃないだろうな」
「違うよ いわゆるアイコラってヤツ この場合は
カヅコラっていうのかな あ、いらなきゃ棄てるし
データを他に廻して悪用なんて真似絶対しないから」
「棄てる!?」

マクベスが差し出した写真は、いわゆるグラビアなどで
『悩殺ポーズ』と呼ばれる格好をしている花月の写真だった訳で。
「だだだ、駄目だっ!こ、こんなのそこらに捨てたりしたら
拾ったやつが何をしでかすか…」
「あ、そっか じゃぁ俊樹くんが責任もって処分してくれるよね?」

ニッコリの後ろに悪魔の羽根が見えるのは、自分の気のせいだろうか。
…とりあえず、これを人に処分をまかせたとあっては、
その後いついつまでも気になってしょうがないだろう。
「わ、わかった …処分するために預かるんだからな!」
「はいはい わかったわかった」

…俊樹が本当に処分したかどうかは、誰も知らない。

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…幸せな俊樹の誕生日ということで、ふーかさんのふりが来ましたが
これはどうでしょう(笑)
せっかくパーティーの準備でお話進めてくれたのに、
何だか違う方向で受け止めちゃってすみません。

きっとマクベスのアイコラって、まったく継ぎ目や合成が
わからない完璧な出来上がりなんだろうなぁ。