「あぁ 恥かしかった…」
待合に戻り、吐息をつく花月。
内科の窓口もすぐ横なので、手近にあった
待合椅子に、腰を落とす。

頬をうっすらと染め、思い悩む様子は
オメデタを告げられた付近の妊婦達と同化し、全くの違和感が無い。
通りすがりの者なら、「おや あの人も…」と
微笑ましく眺めるだろう。

…が、『微笑めねぇっ!!』という立場のものも勿論存在する。
その筆頭が、偶然その様子を見つけてしまったのは
偶然だろうか必然だろうか。

花月に会えない期間が長引いた事で、俊樹の背後に黒オーラが
漂いかけてきた頃、狙ったようにツッコミをかます関西弁の
グラサン男。
「俊樹ハンは、鬱になったら廊下の隅っこで膝抱えて
キノコでも生やしてそうでんな〜」
…意地でも鬱になどなってやるものかと、病院を訪れた俊樹が
見たのは、産婦人科前の椅子で、紅潮した花月であった。

「な、何故花月が…産婦人科…!??
実は女だった…いやそんな筈が無いのは知っている。
しかし、あの様子……まさか…妊娠???」

微熱+恥かしさで、心持ちうつむいていた花月が、放心している
俊樹に気付くのは10分後。 その誤解を解くのには
更に30分を要したらしい。

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ふーかさんの振ってくれたネタに乗って、俊樹と花月の再会と
させていただきました(笑)

俊樹は自分の判断じゃ、鬱だろうが病気だろうが
意地でも病院行かなそうですけど、どうでしょう。