「…今日も会えなかった…」 
半涙目で、ファミレスのテーブルに突っ伏す男が一人。

普段から、自分は忘れられている存在ではないのかと微妙に
コンプレックスを持っている俊樹は、鬱になると どこまでも
沈んで行く。

(どうしてだ!確かに花月の気配はするのに巡り合えない?)

十兵衛に遠慮をし、あまり積極的に出られぬ俊樹であったが
街中で花月の気配がしたら、そのチャンスを逃すほど
消極的ではない。
…だが、なぜかここの所 花月の存在を察知はするのに
その顔を見れる機会が訪れない。

根が真面目な俊樹は、気配だけを理由に花月を探し
長時間 仕事をサボってしまう結果になるのを良しとせず、
昼休みに愚痴る日々が続いていた。
「…せめて、毎日とは言わないが ファミレス辺りでバイトを
してくれれば、通いつめるのだが…」

(「いらっしゃいませ お客様。ご注文はお決まりですか?」
想像の中でにこやかに微笑む花月。)
エプロンが本来なら女性店員向けであるピンクである点も、
妄想の中では無問題だ。
「ハァ…花月……会いたい…」

夜半対策で、花月が髪をバッサリと切り落した事を知らぬ俊樹。
気配を確かに感じ振りかえっても、咄嗟に「長い黒髪」が視界に入らぬと
花月不在と認識される彼の脳データが修正されるのは、もうしばらく先だった。


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昼メロ50です。…キリの良い数字ですので、やはりここは原点俊樹で(笑)
この数までこれましたのも、コラボと称し
図々しい押し掛け企画を見捨てず、お付き合い下さった優しいふーかさんや
拍手などであり難いお言葉下さる皆様のおかげです。


なりゆきまかせな気侭企画ですが、皆様お付き合いの程
よろしくお願い申し上げます。
追記:ふーかさんに「俊樹は花月センサーないのでしょうか?(可哀想)」
とご質問が(笑) 自分の印象での、俊樹の花月センサーは
持ってるけど つい思いこみで長い髪などの目印で探してしまうので
「センサー+本能」で探しちゃう十兵衛にちょこっと負けちゃう…
という感じです。